
PERFORMANCE 2016.05.31
異次元の感覚!最新電動レーサーの速さ

written by 伊丹 孝裕

クルマの世界ではとっくにお馴染みだが、実はバイクも電動化の波が押し寄せている。その最先端をいくのがレースの世界で、日本からは無限がマン島TTレースに参戦。2015年の優勝マシンに乗ることができた!
マン島TTで2年連続 ワンツー・フィニッシュ達成!
2009年、マン島TTレースでまったく新しいカテゴリーが生まれました。それがCO2を排出しないゼロエミッションクラス。事実上の電動マシン世界一決定戦だったのです。
この新しい試みで一旗揚げようと、世界各国の研究機関や大学、ベンチャー企業がこぞって名乗りを上げ、’12年からは日本のエンジン&パーツブランド「無限」も参戦を発表。まったくの白紙状態からマシンを作り上げ、‘14~‘15年は2年連続でワンツー・フィニッシュを達成し、レースの世界に新風を巻き起こしたのでした。
最高速は265km/hオーバー!! いったいどこまで速くなる?
で、実はそのマシンに乗ることができました。
みなさんはもしかしたら「電動なんて大きなラジコンみたいなもんでしょ?」とか「エコな乗り物には興味ない」なんてちょっと見下しているかもしれませんが、大きな間違いです、それ。
わかりやすいから数字を先に出しちゃいますが、マン島で記録した最高速度は265km/h以上! だいたい600ccの4気筒スーパースポーツを同じくらいと思ってもらっていいでしょう。そう、とんでもなく速いのです。
ちなみに動力は日立マクセル製のリチウムイオンバッテリーとモーターを組み合わせたもので、馬力に換算すると150psを超えているというからそれも納得ですね。それをカーボン(!)のフレームと空力を突き詰めたカウルで包み、1周60kmの難コースを世界中のどの電動マシンよりも速く駆け抜けたのです。
かなりエキサイティングな 音がする!?
神電・四と名づけられたこのマシンですが、電動=無音というイメージは当てはまりません。スロットルを全開にすれば、モーター音が一気に高鳴り、「キーン・・・」というかなり甲高い金属音を発生。それだけでテンションが上がる、実はかなりエキサイティングなマシンだったりします。
その一方で操作そのものはいたって簡単。スクーターと同じと言うとあまりありがたみがないかもしれませんが、右手でスロットルとフロントブレーキを、左手でリヤブレーキを操作し、両方のステップにはブレーキもシフトペダルもなし。まるっきりオートマ感覚でライディングに集中できる構造になっています。
びっくりするのは重いのに軽いこと・・・って、これじゃ分かりませんよね。実は車重は250kgもあり、他のバイクに例えるならCB1300SFよりは少し軽い程度。なのにほとんどそれを感じさせず、グングン加速してくれることはもちろん、コーナリングも軽快。まるで浮遊しているように感覚で走れる未来感覚たっぷりの乗り物でした。
ちなみの今年のマン島TTにも2台体勢で参戦。3年連続ワンツー・フィニッシュという前人未到の記録達成なるか?それとも強力なライバルが現れるか?レースは6月8日なので楽しみにしたいと思います。
写真 M-TEC
