
PERFORMANCE 2016.05.31
ドゥカティから待望のクルーザーモデルが登場!

written by 伊丹 孝裕

これまで生粋のスポーツバイクを作り続けてきたドゥカティが初めてクルーザーのカテゴリーに進出することになった。余裕たっぷりの高速巡航性能が与えられた「Xディアベル」の乗り心地とは!?
ドゥカティのクルーザーは アリか、ナシか?
ハーレーのように足を前に投げ出して乗るバイクのことをフォワードコントロールと言いますが、「俺たちはスポーツバイクメーカー」というポリシーを掲げてきたドゥカティは、そういうのんびりムードが漂うカテゴリーには進出してきませんでした。
ところが、ここ数年はちょっと状況が変化。ライダーを旅にいざなうアドベンチャーモデルやドリフト上等のスーパーモタード、ダートもバッチコイなスクランブラー・・・・・・と次々に新しいコンセプトのモデルを送り出し、オンロードもオフロードも主要なカテゴリーはだいたいフォロー。フォワードコントロールの、いわゆるクルーザーにいつ進出しても不思議ではない下地が着々と整えられてきたのです。
おそらくボローニャの本社では「ハーレーの後追いなんてナシでしょ?シニョーレ」「ノンノン、意外とアリだと思うよ」「マンマミーア!」というケンケンガクガクがあったのだと思いますが、「ドゥカティっぽいクルーザーを作ればいいんじゃね?」という結論で一致団結。その結果、登場したのがこのXディアベルというわけです。
キーワードは「5000」、「60」、「40」 これってなんの数字?
じゃあ、ドゥカティっぽいクルーザーってなんなの?って話。それを紐解く数字が「5000」と「60」と「40」というものですが、これだけではまったく分かりませんよね?
まず「5000」。これはエンジンの最大トルクの発生回転数のことで、つまり5000回転というドゥカティとしては異例に低い領域でモリモリとした力を発揮。端的に言えば「ドゥカティだってのんびり走れるんだぜ」という最大級のアピールポイントがココでしょう。
「60」はちょっと驚きで、なんとこれは選べるライディングポジションの数。まさかと思われるでしょうが、4つのステップ位置、5つのシート、3つのハンドル形状を組み合わせてお好きなポジションをさぁお決めなさい!という万全のおもてなしシステムがそこにあるのです。ちなみに、どういう計算で60パターンになるのか分からない人にコッソリと教えておきますが、4×5×3=60という小学2年生レベルの計算式なので、覚えておきましょうね。
さて、最後の「40」はと言えば、「本気出してフルバンクしたら40°まで傾けられるんだぜ」というもの。一体誰を相手にどんな走りをしようとしているんだがわかりませんが、ドゥカティらしくコーナリング力の準備に余念がないのはさすがと言えましょう。
速いわ、曲がるわ、目立つわの 超快速クルーザー
というわけでいざ試乗。
小柄なライダーなら、特にステップの位置を一番手前に引き寄せたくなるでしょうが、そこはアジャスト次第。それさえクリアすれば、足つき性もよく、どこを走るのもイージーそのもの。もちろん高速道路をドカーンと加速している時が一番心地いいものの、「40」が意味する通り、コーナリングも大得意。長いホイールベースを感じさせることなく、クルクルと旋回してくれます。
1262ccの2気筒エンジンはその気になれば150馬力も出てしまいますが、アーバン/ツーリング/スポーツという3種類の出力特性が選べるため、気構えなくて大丈夫です。それらを感覚的に表現するなら、ユルユル(アーバン)、スイスイ(ツーリング)、ガツガツ(スポーツ)と変化するため、好みに合わせればいかようにも走れる他、万が一の時はトラクションコントロールやABSがアナタのスキルを最大限フォローしてくれるはず。
その抜群の性能と存在感を誰もが引き出せ、心ゆくまで楽しめるプレミアムバイクの筆頭と言えるでしょう。
ちなみにモデルバリエーションはスタンダードモデルのXディアベルの他、それをベースにフロントフォークやブレーキキャリパー、ホイールが変更されたXディアベルSの2種。どちらを選んでも基本的な性能は変わらず、抜群のスタイルは共通のため、大いに悩んでみてください。
写真 ドゥカティジャパン
